気づきの瞑想、マインドフルネス

そもそも瞑想って何?

瞑想とは、心と体を「今この瞬間」に戻し、いのちに触れること

ブッダはこう説きました。

「過去はもはや存在しない。未来はまだ来ていない。いのちに触れられるのは唯一、今この瞬間だけだ」

引用:ブッダ「愛」の瞑想-人間関係がうまくいく〈気づき〉の実践法P40 より 
著者:ティクナットハン 訳:磯崎ひとみ 発行所:角川学芸出版 2014年10月25日初版発行

忙しい毎日の中で、人の心は未来への心配や過去の出来事などに囚われやすくなっています。

そんな時に、自分自身に立ち返らせてくれる、気づきを与えてくれるのが、瞑想です。

瞑想の効果って?

ストレス解消

毎日の中で起こる出来事は、楽しいことばかりではありません。苦しく感じる事、腹が立つこと、悲しくなることもあります。1日が終わる頃には、心の中が雑念で一杯になることもあります。

そんな時に、短い時間でも一人静かに瞑想することで、心の静けさを取り戻すことができます。また、その中で今抱えている問題に対して、別の角度から見つめる気づきが生まれるかもしれません。

幸福感が増す

私たちは、時々怒りや悲しみに飲み込まれそうになることがあります。

そんな時、その感情との付き合い方を知っていれば苦しみが少し楽になります。

また、瞑想しながら「いまここ」に集中することで、感情から距離を置くことができます。すると、冷静に見つめるもう一人の自分の目から、穏やかな視点を持つことができるようになるため、嫌な感情に振り回されることが減り、結果として心が穏やかになります。

テンションが高まる高揚感のような幸福感とは違い、心が平和な静けさに包まれて幸福感に満たされるというイメージです。

→ 気づき、そして苦しみを変容させる という記事も参考になると思います。

うつ病の予防

うつ病になったり、悪化させたりといった事の大きな原因はストレスにあります。

病院などで、「ストレスを減らすこと」と指導されても、実際には仕事を辞めるわけにはいかなかったり、嫌な人とも付き合わなければならなかったりと難しい現状があると思います。

そんな時に、ストレスへの適切な対応を知ることで心の負担を和らげることができます。それが、瞑想によるストレス解消です。

意外と簡単にできる初心者向け瞑想のやり方

マインドフルネスについて

古くから瞑想は行われてきましたが、近年ティクナットハンというベトナム出身の世界的に有名な僧侶が、広める活動をしている瞑想法が、マインドフルネス(いまここへの気づき)による瞑想法です。

この瞑想法は仏教に基づくもので、ブッダが悟りを開いた瞑想法とも言われています。現在では、有名企業や医療現場、教育現場でもセミナーが開催されたりと、各地で認められ取り入れられている、安全な瞑想法です。

→ ティクナットハン師については 他者と争わない実践的方法 という記事で紹介しています。

簡単だけど実はすごい!ブッダが悟りを開いた瞑想法

マインドフルネスによる瞑想法は、まず呼吸に意識を集中します。

呼吸に集中することで、自分自身の体と心が「いまここ」に存在できるきっかけを作ることができます。

ティクナットハン師は自身の書籍の中でこう書いています。

愛する人にあげられる最も尊い贈りものは、あなたが真に「今ここ」に存在していることです。

わたしたちはどうすれば、そんなふうに存在できるようになるのでしょうか?

ここで、そのために役立つ、とてもシンプルなエクササイズをご紹介しましょう。

それは「気づきの呼吸(マインドフルな呼吸)」という瞑想法です。

このブッダの瞑想を実践したことがある人ならだれでも、瞑想すれば何よりも自分自身に、愛する人に、人生にたいしてしっかりと存在できるようになると知っています。

本当に存在することができる「気づきの呼吸」

「息を吸いながら……息を吸っていることに気づく」

「息を吐きながら……息を吐いていることに気づく」

そう、心の中で唱えてみましょう。少しの間集中して行えば、しっかりと今ここに存在できるようになります。

日常生活で、わたしたちの心と体がひとつになっていることはほとんどありません。

確かに、体は「今ここ」に存在しているかもしれません。

しかし、心は今後の計画や怒りや嫉妬でいっぱいだったり、過去を悔やんだり未来を心配したりと、さまよっています。

「気づきの呼吸」は、そんな心と体の間に橋を架けてくれます。

「気づきの呼吸」を実践しはじめた瞬間、心と体はお互いにひとつになりはじめます。

この「身心一如」と呼ばれる奇跡は、わずか10秒から20秒もあれば達成できます。気づきの呼吸によって、「今ここ」で身心をひとつにできるのです。それはだれにでも、子どもにでもできることです。


引用:ブッダ「愛」の瞑想-人間関係がうまくいく〈気づき〉の実践法P27~ より 
著者:ティクナットハン 訳:磯崎ひとみ 発行所:角川学芸出版 2014年10月25日初版発行

一瞬ごとに復活するブッダの瞑想

気づきがなければ、わたしたちは死んだように生きているのと同じです。

気づきが生まれるたびに、わたしたちはブッダの国(浄土)、神の国に生まれなおすのです。聖書の詩篇にこうあります。

「お前はわたしの子だ。きょう、わたしはおまえを生んだ」

これは聖書の言葉です。精霊を通して、一瞬一瞬、わたしたちはふたたび生まれ変わっていきます。

 マインドフルネスは、身も心も「今ここ」に戻すことから成り立つ実践であり、わたしたちはそれを実践するたびに生に戻ってくるのです。

それは、気づきの呼吸によって、可能になります。

仏教には、一瞬ごとによみがえる実践を行う瞑想があります。

気づきの呼吸を繰り返しながら、「呼吸しながら、わたしは生きている」と心の中で唱えるのです。


引用:ブッダ「愛」の瞑想-人間関係がうまくいく〈気づき〉の実践法P125~より 
著者:ティクナットハン 訳:磯崎ひとみ 発行所:角川学芸出版 2014年10月25日初版発行

息を吸って体に気づく。

私たちは、体に痛みがある時はその部分が気になって意識を向けるでしょう。

元気な時は、自分の体に意識を向けていることは、意外と少ないのではないでしょうか。

今、緊張している、安らいでいる、不安を感じている、楽しんでいるなど、その時の状態に気づくことは、自分に立ち返ることへの第一歩だと感じます。

短い時間からでOK!

まずは、短い時間から、自分の状態に気づく癖をつけていく。

慣れてきたら、寝る前など暗いリラックスできる場所で、少しづつ時間を3分から5分、10分と伸ばしていけたら良いと思います。

瞑想する時の姿勢は?

瞑想は座って行うことが一般的で、座り方なども座布団を敷いて蓮華座(結跏趺坐)や半蓮華座(半跏趺坐)が心身の安定を作り出すのに適していると言われています。

また、椅子座位で姿勢を左右対称にするなどが良いとも言われています。その他には、横になる方法もあります。

具体的な方法は、

蓮華座はあぐらをかき、左右両方の足をそれぞれ反対の太腿の上に乗せる座り方。半蓮華座はあぐらの状態で、片方の足だけを反対の太腿の上に乗せる座り方。

背骨をまっすぐに伸ばし、目はうっすらと開き(半眼)、両手は心地よく緩めて、座位の適正な位置で組みます。

椅子座位では、足の裏を床の上できちんと揃え、両手を太ももの上に置きます。

床に横になり、両足を伸ばして少し開き、腕を体のわきに置いて、手のひらを上にむけた臥位の姿勢で行っても良いです。

参考文献:
微笑みを生きる-〈気づき〉の瞑想と実践 より
著者:ティク・ナット・ハン 訳者:池田久代 
発行所:株式会社 春秋社 2015年2月20日新装版第3刷発行

無理なく継続できること。

継続的に行わないと、なかなか効果を感じられないので、これが大切だと思います。

取り入れやすい!歩きながらできる瞑想法

ティクナットハン師の書籍には、日常に取り入れやすい歩きながらできる瞑想法が記載されています。

簡単に方法を紹介させて頂きます。

少し時間にゆとりを持つことで行える瞑想法です。

戸外でウォーキング・メディテーション(歩く瞑想)を行うときには、いつものペースよりゆっくりめに歩きます。

そして、その歩みに呼吸を合わせてゆきます。

たとえば、息を吸いながら三歩、息を吐きながら三歩歩きます。

「吸って、吸って、吸って。吐いて、吐いて、吐いて」とくちずさむのです。

こころのなかで「吸って」とつぶやいてみると、吸う息と歩みが一体となります。

私たちはよく何かの名前を呼ぶと、それを目の前に思い浮かべることができるでしょう。

あなたが友だちの名前を呼んだら、その友だちのすがたが浮かんでくるように。

もしも三歩でなくて四歩息がつづくならば、ひと息で四歩歩いてください。

ひと息で二歩しか歩けなかったら、それはそれでよいのです。息の長さはひとりひとりちがうものです。

また、入息と出息を同じペースにする必要もありません。

息を吸いながら三歩歩き、吐きながら四歩歩いてもかまわないのです。

歩いていて、しずかな喜びが湧きあがってくるならば、それが正しい歩き方です。

それから、大地とあなたの足が接する、その感触に気づいてみてください。

一歩あゆむごと、そっと大地にキスするように歩きます。

私たちはいつもこの母なる大地を痛めつけています。

だから今度は、この大地をそっと大切にいたわってやってごらなさい。

大地のおもてに私たちの平和と静寂を返して、愛を分かち合う。

そんなふうに歩くのです。ときには美しいものに目をむけて、じっと見つめてみるのもいいですね。

木や花や子どもたちのすがたに目をむけてみましょう。

見つめながらも自分の息からこころを離さないでください。

そうすれば目の前の美しい花からこころがそれて、ほかの思いが入りこむことはありません。

そしてまた歩きたくなったら、見るのをやめて歩きはじめます。

一歩あゆむごとに心地よい風が立って、こころと体をリフレッシュしてくれます。

一歩踏み出すごとに足もとに花が咲きます。

過去や未来を思わず、いま、ここ、このときに生きることができたら、私たちの一歩一歩のあゆみのなかに、だれもが美しい花を咲かせることができるのです。

引用:微笑みを生きる-〈気づき〉の瞑想と実践 P34~ より
著者:ティク・ナット・ハン 訳者:池田久代 
発行所:株式会社 春秋社 2015年2月20日新装版第3刷発行

忙しいあなたへ、他にも日常生活に取り入れやすい瞑想法があります!

ティクナットハン師は、書籍の中で、気づきを持って行えば、全てが瞑想になるとも述べています。下に、紹介されていた他の瞑想方法をご紹介します。

食事しながらできる瞑想法

みかんの瞑想というお話が紹介されています。みかんを「これを味わって食べてください」と言ったら、味わい方は様々です。

まず、みかんを見つめます。それがどこから来たのかについて瞑想します。

太陽に照らされたみかんの花や雨に濡れる花を思い浮かべます。それから花びらが落ちて小さな緑色のみかんの実が見えてきました。

日差しと雨が繰り返されて、小さなみかんの実が大きくなってきます。誰かがもぎ取ってきたから、みかんがここにあります。

次にゆっくり皮をむきます。弾ける香りに気づきながら皮をむき、実をひとふくろ口に運び、その舌触りや味、甘い果汁のひとつひとつに気づきながら味わって食べます。

このように私たちはゆっくりとみかんを食べたのです。

食事のひとつひとつに物語があります。食べ物を味わうとき、その物語に思いをはせがなら味わうと、1回1回の食事がとても特別なものになります。

ゆっくり味わう時間を持つのは難しいかもしれませんが、休みの時など、ふと思い出した時に行ってみてください。

参考文献:
微笑みを生きる-〈気づき〉の瞑想と実践 P25~ より
著者:ティク・ナット・ハン 訳者:池田久代 
発行所:株式会社 春秋社 2015年2月20日新装版第3刷発行

運転しながらできる瞑想法

ティクナットハン師は、運転する前に唱える詩を作られています。

車を走らせる前に

私は知っている どこへ行くかを

車と私はひとつ

車が速く走れば

私も速く走る


引用:微笑みを生きる-〈気づき〉の瞑想と実践 P39~ より
著者:ティク・ナット・ハン 訳者:池田久代 
発行所:株式会社 春秋社 2015年2月20日新装版第3刷発行

「車を走らせる前に 私は知っている どこへ行くかを」という問いかけは、単に出かける目的地を指すのではなく、出かける目的は何かを問いかけているようです。

気分転換や、孤独から逃れるためなら、運転ではなく散歩の方が静かに自分を見つめて自分に戻ることが出来ると、書籍の中で述べられています。

車という乗り物は必要ですが、大気汚染にも繋がっているという事実、森林が破壊されている事に気づいているかということも考られています。

自分の行動が他にどのような影響を与えているかを深く見つめると、地球との結びつきも見えるのですね。私たちは切り離された存在ではないという事が伝わってきました。

車に乗ることを禁止しているのではなく、「車に乗る」という事とその目的に気づいているかという問いかけなのだと思います。

また、目的地にたどり着く事が目的になっていると、その邪魔をする赤信号でイライラします。ただ、赤信号を「気づきのベル」と捉えると「いまここ」に立ち返らせてくれる存在になるとも書籍の中で述べています。

赤信号になったら、呼吸に意識をむけて

「息を吸って 私はしずか 息を吐いて 私は微笑む」

すると、いらだった自分からくつろいだ自分に変身できる。

突然そのように言われても実践するのは難しい気がしますが、普段から「気づきの瞑想」を行っていると、このような気分転換の仕方が行えるようになるのだと思います。

参考文献:
微笑みを生きる-〈気づき〉の瞑想と実践 P39~ より
著者:ティク・ナット・ハン 訳者:池田久代 
発行所:株式会社 春秋社 2015年2月20日新装版第3刷発行

電話のベルが鳴ったら、、気づきの瞑想

以下、書籍からの引用です。

今度電話のベルが聞こえたら、すぐには受話器を取らないで、その場で意識的に息を吸って、吐いて、そっと微笑んでからこう唱えてみてください。

「お聞きなさい。お聞きなさい。このすばらしいベルの音が、私を本当の自分に連れ戻してくれます」

もう一回ベルが鳴ったら、この言葉をもう一度唱えてください。微笑みは前よりももっとやわらいでいるはずです。

あなたが微笑んだら、顔の筋肉も緩んで、緊張はすぐに消えてしまいます。

電話を前にして、こういった呼吸と微笑みの練習をしてみてください。

受話器のむこうにいる人に大切な用事があるのなら、三回のベルくらいは待ってくれるはずです。

三回目のベルがなったら、ゆっくりと電話の方へ歩いてゆき、しっかり自分に気づきながら呼吸と微笑みを続けます。

あなたを動かすのは、ほかのだれでもない、あなた自身です。

こうなれば、あなたは自分のためだけでなく、受話器のむこうの人のためにも微笑んでいることに気づくでしょう。

もしあなたがイライラしたり、腹を立てたりしていたら、相手にあなたのいやな気分が伝わってしまいます。

でも、あなたは呼吸にこころを合わせて微笑んでいるのですから、マインドフルネス(気づき)のなかにいるのです。

そんなあなたが電話に答えたら、相手はどんなに気持ちよく話ができるでしょう。


引用:微笑みを生きる-〈気づき〉の瞑想と実践 P39~ より
著者:ティク・ナット・ハン 訳者:池田久代 
発行所:株式会社 春秋社 2015年2月20日新装版第3刷発行

引用文献で紹介している、ティクナットハンの本に興味がありましたら、参考に読んでみてくださいね。

いろいろな方法を紹介したけど、大切なのは、いまここに気づくこと!

ご紹介させていただいたように、運転しながら、食事しながら、電話のベルを聞きながら、歩きながらと、瞑想とはどこにいてもできることです。

呼吸に意識を向け、自分自身に立ち返る。これは、自分の抱えている問題と向き合うことにもつながります。苦しみを見つめる、抱きしめる。そして変容させる。

この繰り返しの中で、深くみることや気づきが得られるようになるのだと思います。

特別なことと思わずに、ふとした時にちょこちょこでも実践できたら良いですね!

継続すると効果が増してくる

とはいえ、最初は難しいです。

やはり、何度も繰り返し、繰り返し、実践を続けることが大切です。

瞑想を実践中!

私の場合はね、、、

私もこの瞑想法を知ってから、日常の気づいた時にちょこちょこやってみています。なかなか時間を作れないので、1回に長い時間は行えません。

自分で行っていることとしては、朝の通勤時に少し早めに家を出て、歩調をゆっくりにして歩いてみています。

そうすると、朝日がとても綺麗なことに気づきました。朝日をチラッと見つめると気持ちが明るくなり、元気がでてきます。憂鬱な月曜の朝でも。

こんな明るい太陽に照らされていて、有難いな、幸せだなと思います。

電車の中でも、各駅停車に乗ると座れるので、座って姿勢を正して目を軽く閉じます。呼吸に息を、、と頑張るのですが、すぐに雑念が湧いてきます。

気づくと、仕事のことややらなければいけないことに意識が向いている自分に気づきます。瞑想が迷走になっています。笑

それでも、なんとなく気持ちが良くなるので、根気よく続けていけたらなと思っています。

ひとりひとりの幸せな心が、幸せな社会を作る。

自分が幸せな気持ちになることで、周りの人のためにもなります。

自分の幸せには自分で責任をとる。とか言うとちょっと怖いけど、努力しなきゃなって思います。

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